住まいのブログ

そのペアローン、本当に大丈夫!?“言いにくいこと”を、ズバリ言います!

こんにちは。まなびのステーション アドバイザーの【たかやま】です。

 

本日も前回ブログに続き住宅ローン関連の話、今回は「ペアローン」をテーマにお話したいと思います。

「ペアローン」というのは、簡単に言うと、一つの同じ物件に対して、夫婦(または親子)が、それぞれ自分の収入を基準に1つずつ住宅ローンを組むタイプのローンのことで、 ローンを組むそれぞれが債務者になり、それぞれが相手の連帯保証人になります。

単独でローンを借りるより借入額を増やすことができるうえに、ローン毎に、つまり夫婦であれば、それぞれに住宅ローン控除が適用されるので、予算的な観点から物件購入の選択肢を増やすという点において、おおいにメリットのある商品。

一方で、当然リスクもあります。

ただ、ご夫婦を相手にリスクについて話しにくい特有の事情もあって、不動産業者がリスクに触れないまま、住宅購入検討者にペアローンの利用を煽ってしまうケースも散見されるので、 そのあたりの話しにくい点も含め、お伝えします。

 

本日の目次

・ペアローンの現場で起きている無理強い事例

・ペアローンの利用を検討する前に確認したい3つのポイント

・リスクを踏まえたペアローンの活用方法

 

・ペアローンの現場で起きている無理強い事例

「不動産販売の現場で実際に起きているペアローンの無理強い」の事例について紹介します。

最近僕の友人夫婦が、某財閥系デベロッパーが売り出している新築マンションのモデルルームに行った時の話です。

その夫婦の予算は1億円が目安だったのですが、見学しに行った物件は、希望の広さで大体価格が1.5億円くらい。

予算的には大幅にオーバーなのですが、販売担当者は、資金のシミュレーションをしてくれたうえで、 「お二人でペアローンを組めば、1.5億円までなら借入可能、予算アップできますよ」と。

夫婦にとっては急な、かつ5割の予算アップなので、さすがに断ったそうなんです。

すると、「予算アップは確かにキツイかもしれないが、物理的に借りることはできるし、2人別々に住宅ローン控除を受けられるのでそこまで負担は増えないはず」だと、ペアローンの利用、それによる予算アップをゴリ押しされそうになったので怖くなって帰ってきた、という話です。

似たような経験した方、いないですか?

僕が直接現場でやりとりを見聞きしたわけではないので断言はできませんが、 恐らく、その営業担当者は、物件を買ってもらいたいばっかりに、ペアローンの「借入枠を増やせる、住宅ローン控除をダブルで受けることできる」 というメリットのみを伝え、利用をゴリ押したのだと思います。

実際にデメリットの話は1つも出ていなかったようです。

担当する不動産業者が、歩合色の強い雇用形態で働いている場合(会社によりけりですが)、 お客様が購入する不動産価格が高ければ高いほど、得られる不動産仲介手数料、ひいては自分に返ってくるインセンティブが増えるのが一般的なので、 自分に返ってくるインセンティブを増やすため、ペアローンを半ば強引に薦めて、お客様に当初予算以上の物件を購入させる。

残念ながら、こういうことが至るところであり得ると思っています。

今、メディアを見ていても 「世帯年収1,000円以上の、いわゆる“パワーカップル”の不動産購入意欲が旺盛です」と、 まさかペアローンの利用を煽っているわけじゃないでしょうが、そんな報道が目立ちますし、共働き世帯が年々増えていると社会的背景もあると思うので、これまで以上に、先程紹介したような事例が増えてくるんじゃないでしょうか。

購入を検討する側としては、自分自身を守るため、しっかり、ペアローンに関する知識を深めておく必要があります。

 

・ペアローンの利用を検討する前に確認したい3つのポイント

 

①諸費用負担が増加

住宅ローンが2本になる分、住宅ローン契約に際して発生する事務手数料、抵当権設定費用、保証料、印紙代等ダブルで発生します。

金融機関によって、定額の場合もあれば、ローン金額に対する料率(2.2%とか)設定のケースもありますが、いずれにせよ数十万、あるいはそれ以上のコストupイメージ。

この点については、住宅ローン控除のメリットもダブルになるので、ある程度相殺されると思いますが、 認識していないと、費用としてはインパクトが大きいので注意が必要です。

 

②支払い義務

次に2つめは、どちらかの就業形態、収入レベルに変更があっても支払義務はそのまま残ることです。

想像しやすいのは、奥様が子育て等の関係で時短勤務になり、収入が減る、といったケースですが、 時短では対応できず、仕事を辞めざるを得なくなった場合は、もっと悩ましい事態になります。

辞めなくてはいけないのに、ローンがあるから辞められない、なんてことになったらどうするのか?

予算を上げ、物件の選択肢を増やすためのペアローンが、かえってその後の人生の選択肢を狭めかねません。

 

③(言いにくいのですが・・・)離婚した場合

万一離婚をした場合にも返済義務は残るということもリスクです。

不幸にも離婚することになってしまった場合、物件を売却することに合意できて、その売却資金によって2本の住宅ローンを完済できれば良いですが、 残債が残ってしまう場合や、どちらかが物件に住み続けなくてはならない場合は、困ったことになります。

もちろん、売却しないでそのまま保有し、離婚後も2人で返済をしていくということも選択可能ですが、 それぞれが相手の連帯保証人であり続けることには変わらないため、夫婦であるならまだしも、離婚後、 仮に相手の返済が滞った場合に、自分に返済義務が課せられることを許容できるのか、という別の問題が残ります。

今から住宅を購入しようというご夫婦に、「仮に、万一の話」とは言え、 なかなか離婚した時の話をしにくいのは、心情として理解はできます。

不動産業者の営業担当はその不動産を買って欲しいでしょうから、尚更言えないんですね。

 

・リスクを踏まえたペアローンの活用方法

このようなリスクに対してはどのように対処していけばよいのでしょうか。

それは、「ペアローンによる最大融資可能額をそのまま不動産購入の予算額としないこと」です。

つまり、あくまで単独債務者での返済負担を下げる、リスクを夫婦で分散するためにペアローンを活用するのであって、 当初予算はあくまで上げずに、片方(たとえばご主人)の収入でカバーできる水準を保っておく(年収の5倍まで~等のルールを決めておく)ということです。

こうすれば、仮に奥様が仕事を辞めざるを得なくなっても、無理なく住宅ローンを返済していくことができます。

また、事前に細部まで擦り合わせおくことが難しいのかもしれませんが、 できれば、離婚した場合は住宅を継続保有するのか、売却するのか、くらいは方針立てをしておいて、万一に備えた心積りをしておく必要はあるのかと思います。

 

あなたが相談している不動産業者は、 ペアローンのメリットのみを前面に押し出し、ペアローンの利用・予算アップを薦めてきてはいませんか?

多くの方にとっての憧れであるマイホーム探しだからこそ、つい、「アレもコレも」となって、予算も上げたくなってしまいがちです。

そんな時こそ、本日お話したポイントを踏まえ、一度ご自身の頭で冷静に考えていただければと思います。

 

また、何かご相談事項があれば、以下のメールアドレスもしくは掲示板でいつでもご連絡ください。

 

mail: manabi-station@rbc-cop.com

 

掲示板:住まいとまなびの掲示板 - 「教育」と「不動産」の情報共有のためのコミュニティサイト (manabi-station.jp)

 

参考動画:#23 そのペアローン、本当に大丈夫!?“言いにくいこと”を、ズバリ言います!【教育 × 不動産】 https://www.manabi-station.jp/blog/blogvideo/advisor9-3/